7月某日/安息空間にて

仕事を終えて帰宅する途中、安息空間に立ち寄る。かつて毎晩のようにBARに通う当時の首相が話題になっていたのを思い出す。猛暑の夏は少しでも気温が下がってから帰りたい、と勝手な理屈を考える。
扉を開けると、いつもと違う音楽が流れている。高らかに響くテノールの声、ロマン派時代の歌劇だろうと推察する。曲目を尋ねたらプッチーニの「トスカ」全曲版だった。あらすじも登場人物も知らないので、なんとなく聞き流す。

まず、モヒートをいただく。ラムをベースしたカクテルだ。夏にぴったりのすっきりした味。ミントの香りがとてもさわやか。
次は、シングルモルトのスコッチウイスキーから「Raphroaig 10年」を選び、ストレートでいただく。アイラモルト特有の香り、しばしば正露丸にたとえられるがそのとおりだった。違いは、口に含めばさほど気にならなくなる点だ。正露丸なら瞬時に大量の水で流し込む。ウイスキーなら逆にゆっくりと舌の上で味わい、余韻を楽しむ。強烈な香りとは対照的とも思える意外にソフトな味わい、一粒で二度おいしいとはこのことだ。
スコットランド西海岸から潮の香りが漂ってきそうだ。こんな時はメンデルスゾーンの「フィンガルの洞窟」を聴きたくなる。いずれ我が家で実現させよう。

(画像はサントリーのBAR-NAVIのホームページから借用)