好きな歌/夢淡き東京

1947年に映画の主題歌として発表された。今は亡き往年の名歌手、藤山一郎氏が歌う。 

戦後の復興、高度経済成長とともに、全国各地から多くの若人が夢と希望を胸に上京したことだろう。この歌を聴くにつけ、大都会での生活に漠然とした憧れを抱くのも無理はないだろうと思う。
終戦直後の東京の下町、そこに暮らす人々の日々の哀歓を余すところなく伝えている。
とりわけ4番の歌詞が秀逸である。

 悩み忘れんと 貧しき人は唄い せまい路地裏に 夜風はすすり泣く ・・・

小雨のそぼ降る裏通り、場末の赤提灯が悩ましげに目に映る。そして店の中から漏れ聞こえる歌声と流しのギター。
都会を吹き抜ける冷たい風にすさぶ心を紛らわせようと暖簾をくぐるのは、庶民にとってせめてもの慰めであったに違いない。