歌は世につれ・・・

ここで言う「歌」は、和歌でもなければ歌曲でもない。日本の歌謡曲、流行歌である。多分にその歌が世に出た当時の世相を反映している。

私の好きな歌の一つが、奥村チヨさんの「北国の青い空」。昭和42年、グループサウンズ全盛の頃にヒットした。かつて訪れた初秋の北海道能取湖畔、アッケシソウの大群落とその上に広がる青い空が浮かんでくる。

これとは対照的な彼女の歌が、昭和44年の「恋の奴隷」。舞台は屋外の大自然ではなく、4畳半の密室か。
その歌詞にこんなくだりがある。

・・・悪い時は どうぞぶってね あなた好みの あなた好みの 女になりたい

当時はさして問題視されなかったのだろう。今ならどうであろうか。そもそもこのような歌は世間から袋叩きに遭いそうだ。

作詞は、当時売れっ子のNさん。流行歌の大量生産を強いられ、推敲、吟味する暇もなかったのかな。

今なら、草食男子が「あなた好みの あなた好みの 男になりたい」と、年上の女(ひと)にすがりつくのだろうか。これなら受けるかも。