涙のおはぎ

子供の頃、彼岸の時期になると母がおはぎを作ってくれた。いつも、きなこと小豆の2種類、俵の形をした大きなおはぎだった。
「大きくなったら、いつかこのことを思い出してほしい」
そんな趣旨のことを言っていた。
いつ頃からかおはぎを作ることもなくなり、別々に暮らすようになってからはほとんど忘れていた。

母の命日は9月23日、彼岸の時期が来ると母のおはぎを懐かしく思い出すようになった。
何か因縁のようなものを感じる。
このことを、葬儀の喪主あいさつで話そうと考えたが、涙が止まらなくなりそうなのでやめた。

この話は誰にもしていない。自分だけの胸のうちにしまっておくつもりだった。

悔やみつつ 涙のおはぎ 佛前に (風山)