夕焼け小焼け


先日、設楽町の大鈴山から下山し、帰りのバスを待っていた時のこと。
突然、音楽が流れてきた。「夕焼け小焼けで日が暮れて・・・」のメロディーだ。時刻は午後6時。選曲と時間帯、風景が見事に調和している。

旅先ではしばしばこのような場面に遭遇する。まれに場違いな音楽を耳にすることもある(その自治体と曲名は伏せておく)。話はそれるが、近鉄名古屋駅で特急電車が発車する際に流れる「ドナウ川のさざなみ」も違和感がある。

かつて、長野県小谷(おたり)村の千国街道を歩いていたら、午後3時に音楽が流れた。有線放送だったように思う。初めて聞く「農民体操」だった。しばし農作業の手を休めて、足腰を延ばしてもらおうとの配慮か。何とも言えぬのどかな空気に包まれた。

夕闇迫る奥三河の山々に囲まれ、寒狭川のせせらぎを前に、このようなメロディーに接すると、渥美清主演の映画「男はつらいよ」のシーンが思い浮かぶ。どの家でも夕餉の支度にとりかかり、一昔前ならかまどから煙が立ち昇る。そして子供たちがこの音楽に促されるように家路につく・・・週刊新潮の表紙のようだ。ここでお寺の鐘の音とカラスの鳴き声が加われば、感慨もひとしおだろう。

都会では除夜の鐘さえ迷惑がられ、カラスは嫌われ者、街中に音楽を流せば騒音の苦情が寄せられる。この違いは何によるものだろうか。

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