暗譜

暗譜(あんぷ)= 楽譜を暗記すること

暗譜をしなくても、楽譜を見ながらピアノを弾く人がいる。次男の奥様がこのタイプだ。ピアノが実家に置いてあるため、ふだんは弾く機会がない。かつて、拙宅でベートーヴェンの悲愴ソナタの楽譜を渡したら、その場で第1楽章をすらすら弾いてみせた。敬服に値する。
私はその反対に、暗譜した上で弾く。楽譜を見ながらだと手元がおろそかになる。
楽譜は、頭で覚えるのではなく、時間をかけて手に覚えさせる。簡単な曲なら、考え事をしていても手が勝手に動いていくことさえある。逆に、しばらく練習から遠ざかると楽譜を忘れることがある。

ドビュッシーの「月の光」は、その響きの美しさに魅了され、全体の半分、36小節まで進んだ。37小節で♭5つの変ニ長調が、♯4つのホ長調に転調する。もはやこれまで。暗譜にも限度がある。その上、左手の分散和音が一段と難しくなる。

両手を視界に入れるだけならまだしも、楽譜まで視界に入れて弾くのは神業である。
暗譜の許容量がどこまで拡大できるか。まだ弾きたい曲はたくさんある。